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甘いの悲しみ

新設法人であるが故

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新設法人であるが故


花沢物産の役員専用会議室。
名目上は会議となっているが、その場にいるのは類とあきらだけ。
あきらから『一応、耳に入れとくけど』と前置きされる。

「あいつ、さ…枇々木尊だっけ?保釈金払って出てきたらしいよ?」

「へぇ…誰が払ったの?」

「元社長秘書だってさ」

「元?」

「そ。どうやら、尊は元秘書との間の子らしい」

「ふーん…で、今は?」

「尊は実の母の所にいるみたいよ?父親は行方知れずだしね」

「それ、どこ?」

「博多。元秘書の実家だってさ」

「ふーん…」

「保釈中の身だし、牧野に接触してくることはないと思うけどね。
 でも、何かあったら嫌だから、さ」

「…牧野にSP付ける?」

「いいとは思うけど、絶対嫌がるだろうな」

「…だよね」

「まぁ、ヤツが動けば警察も勘付くだろうし。暫く様子見るかぁ」


一応、会議をした、という証拠の書類が二人の間を行き来している。
が、内容はほぼ見ておらず、サインだけして処理されていく。


「そういや、うちのおふくろが来週パーティーしよう、って言ってるけど、来れそう?」

「…何の?」

「牧野の卒業と就職祝い。あと、類の誕生日?」

「俺の誕生日、しないなら行く」

「言うと思った。
 まぁ、メインは牧野だから、来いよ?」

用意されていた書類すべてにサインをし、それをテーブルの端に追いやる。


「ねぇ、あきら。やっぱさ、牧野はうちかあきらんとこに入れた方がいいと思うんだけど」

「同感。何とかできないかと考えてはいるんだけどな…牧野nuskin 如新 、頑固だからなぁ」


つくしが4月から就職する予定の監査法人は設立から数年という新設法人である。
学生時代、公認会計士として花沢や美作の財務監査を手伝っていた経緯で知り合った友人から紹介されたという。
顧客は中小企業がメインである。
そういった背景が気に入ったのか、如新nuskin產品つくしはあっさりとそこに就職を決めてしまった。
花沢も美作も、大手の監査法人と提携しているため、せめてそっちに、という申し出も却下された。


つくしの気持ちを汲みたいのは山々だが、尊の件があって以降、類は真剣に心配していた。
つくしの女性としての魅力は人の目を惹き、その人柄を知れば誰しもが離れ難く思う。
それは類の欲目、というだけではない如新nuskin產品
あの時はたまたま清之介が通りかかったからよかったものの、そんなにいつもうまくはいかない。
自分の知らないところで、つくしが泣くようなことがあったら、と想像するだけで胸が痛くなる。

ー 俺がストーカーになりそうだよ…

心の中で呟く分には許されるだろう。
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